2008年04月07日

MPRI 民間軍事会社 

MPRI Privately Military Company

 Military Professional Resouces Incorporated (MPRI)と言う民間軍事会社を知っているだろうか?
Dynecorp やBlackwater があまりにも有名で一寸、陰に隠れた存在だが、アメリカ系民間軍事会社としては有名な存在なので民間軍事会社に興味のある人は知っているでしょうね。
 一口に民間軍事会社といっても、定義の方は曖昧で何も直接戦闘の矢面に立つような職務だけとは限らない。軍隊の持つ活動の範囲は広く、そして多岐に渡るものだ。兵士も人間である以上は衣食住が提供されることが基本となる、其のため現在イラク戦争で食料や日用品を提供する業務を一手に受注するケロッグ&ブラウニー社などもれっきとした民間軍事会社と目される。
この様な業務は本来兵站部隊の任務だが民間会社が参入しているのである。
 アメリカでの民間軍事会社活用の経緯はソ連崩壊による国家安全保障の役割の低下を受け軍縮と軍事費の削減により生じた。元来、軍と言う組織は来るべき戦争に備え、兵力とその行動を支援する輸送、兵站、施設設営などの総合的組織力を維持しておく必要がある。戦闘部隊を維持する為にはそれなりの支援部隊が必要とされる。
 ベトナム戦争では戦闘部隊に対し5倍の後方支援部隊が必要とされていたときく。アメリカの様な海外で展開することを念頭に組織されている軍隊ではその支援活動は膨大なものだ。これを平時に削減しておき、戦時に民間会社との契約で請け負わせることで組織のスリム化を計った。つまり、アウトソーシングだね。
 現在では民間軍事会社の業種は多岐に渡っており、派遣会社などが兵隊の募集業務を請け負ったり、艦船の操舵訓練を請け負ったり、機材のメンテナンス、偵察写真の提供なども行う。無人偵察機のプレデターの運用にも民間からのオペレーターを活用していると聞いているね。
 前述の民間軍事会社ケロッグ&ブラウニーの大型トレーラーが運ぶ荷物を警護するコンボイガード要員にも、また民間軍事会社が活用されているのは、皆さんが最もイメージする民間軍事会社の姿でしょう。
 現在の状態では直接戦略にかかわる軍事作戦以外の部分で民間軍事会社の参入出来ない仕事がないと感じるほどだ。

 本来、軍で賄われて来た業務を民間に委託した結果、その業務を請け負う民間会社を民間軍事会社と呼ぶという考え方が一般的だ。その業務範囲はイラク戦争の混沌とした状況の中で拡大を続けており、戦略的に行われる戦闘行動を直接支援しないという垣根もどんどん低くなってきている印象を持つ。これが傭兵会社と揶揄される所以でもある。

 初期の民間軍事会社が行ってきたEO(エグゼクティブ・アウトカムズ)によるシエラレオネ首都奪還作戦やその他の民間軍事会社によるアフリカにおける資源争奪の為の紛争介入、ニューギニア政権転覆未遂事件など法人企業が国家戦略部分にかかわることは一般の市民にとってあまりイメージの良い物でもないのは理解できるね。

MPRI 民間軍事会社 

MPRI社は特色のある民間軍事会社だ。最高の頭脳集団との定評がある。表向き将軍クラスの退役軍人を多く抱えている為、職業軍人に戦略についての講義を請け負う業務などを行っている。他にもシュミレーターを使う訓練や軍事訓練プログラムなどを提供するほか、警備に関する業務も請け負う。
 この会社を有名にしたのはボスニア紛争でセルビアのミロシェビッチ大統領を講和のテーブルに着かせたクロアチア軍の渡河作戦を立案、指揮した疑惑がある。(一応NATOの空爆にミロシェビッチ大統領が屈したという発表になっているけれどね。)
 アメリカが紛争初期に行った政治的判断の間違いをMPRIが上手く調整した形だ。MPRI社をクロアチアに将官育成のために紹介したのはアメリカ政府機関であったといわれるし、ミロシェビッチ大統領が講和条件としてMPRIとの契約の打ち切りを求めていたともうわさされている。
 現在MPRI社はL-3コミュニケーション会社の傘下となっていおり、アフガニスタンやイラク国軍の訓練に当ったり、台湾の通信網を整備したり、アフリカや旧ワルシャワ機構内の親米国家で活動している。在韓米軍内でも活動していますね。このれらの国々をはじめとして世界40カ国で活動をしている大手なんですよ。

Text By TAC






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