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Posted by ミリタリーブログ at

2010年01月19日

PRU

Provincial Reconnissance Units ~PRU~


 すっかりミリタリー界の様相も変ってしまったようだね。イラクだ、アフガニスタンだと現用ばかりがもてはやされているのが現状だったりするね。アフガニスタンといえば、テロ特別措置法案が期限切れとなってインド洋での自衛隊による給油活動が停止している。普天間の基地移設問題とあわせアメリカとの安全保障の問題で足なみが揃わなくなった現政権はどうするんだろうね。なるほど、私も沖縄の人ばかりに負担を強いるのは忍びないし、美しい海を埋め立てるのは勿体無い。何より外国軍が治外法権を振りかざしてでかい面して歩いているのも気に入らない。そして自国周辺で戦争が起こるなんて考えるのもイヤだね。戦争がイヤだから、戦争を考える、そんな側面がありますね私の場合。
 戦争の緊張って、割と軍事的な空白から高まる事が多いように感じるな。アメリカ海兵隊は海軍と一体化して陸海空の総合戦力を持つ強力な即応部隊だ。残念ながら自衛隊に匹敵する作戦能力は備えられていない。現政権では県外、国外への基地移設を模索しているようですが、海兵隊をヘリコプター部隊など各能力別に分散して移設したのでは本来の能力を損なってしまうだろうね。何より、沖縄における安全保障についての議論が聞こえてこないのが気になるけどどうなんだろうね。沖縄駐留の海兵隊戦力は沖縄防衛にとって無用と考えているように聞こえるし、もしくは大きすぎるという事なのだろうかね。移設は具体案が歩けど軍事的空白は自衛隊の駐屯などで補完するなどの具体案は示されていないのが気になるな。
 軍事的空白が緊張を生むと言う私の理論は帝国主義時代の終わった現代では荒唐無稽なのかな?では1975年のベトナム戦争終結によるアメリカ軍の南ベトナム撤退、1985年の軍事協定終結後のフィリピンからのアメリカ軍の撤退以後に南沙諸島、西沙諸島に中国が進出して領有したことにより新たなる火種になっている件はどうなんだろう。領有問題は歴史的背景など複雑に絡む問題なのでどちらに属するのが正しいのか、私には分からない。しかし、アメリカ軍駐留時期にはそれぞれの地域は南ベトナム、フィリピンに帰属していた訳で、それ故に火種となっている地域になってしまった。戦争の火種といってもピンとはこないだろうけど、80年代に社会主義統一を果たしたベトナムが測量隊を上陸させた際、中国艦艇から攻撃を受け100名以上が死傷した事件があるそうだ。沖縄地域も中国が領有を主張する尖閣諸島問題があるわけで、今回の移設問題を皮切りにアメリカ軍の県外移設の動きが他の基地問題に飛び火して、段階的にアメリカ軍の沖縄駐留が難しくなると同様の事がおこる可能性があるのではないかね。そしてその火種が沖縄県民の新たな負担になる可能性もあると思うな。
まぁ・・無理やりですかね、アフガニスタンの話から今回のベトナムの話しに持ってゆくために長々とね・・・。
 
 


 ベトナム戦争時代アメリカ軍はベトナムの昼間を支配し、FLN(VC 南ベトナム解放戦線)は夜間を掌握すると言われた。ベトナムにおいて浸透作戦を展開する共産勢力の活動を評価した言葉だが、戦争の結果を見るまでも無く浸透作戦は効果的に働いていたと思われる。PRU(省内偵察部隊)は南ベトナムの各省(行政区的な権限は異なるが日本の都道府県に当たる地区、地域に相当)に配置され共産勢力の浸透作戦に対峙した。テロ鎮圧と情報収集を目的に発足したPRUには共産勢力政治局員やスパイ、解放戦線協力者の誘拐、尋問、抹消などのイメージが付きまとい、あまり一般市民、農民に歓迎されていた部隊ではなかった。(一説ではベトナム戦争を通して、実に数万に及ぶ政治犯の逮捕者のうち70%以上が冤罪であったとの報告がある。)
 この暗いイメージのある部隊も解放戦線の活動地域内で寝返り工作をしたり、二重スパイを仕立てたり、市民を装って潜入して解放戦線の重要人物を割り出したりした為、解放戦線に「我々と同等の戦術を駆使する部隊」と言わしめた部隊なので対する勢力には恐れられていたのだろう。

 写真のパッチは実はPRUの一部隊であることは分かっているのだけれど、活動地域が特定できていない物だったりする。ベトナム語で記された標語「不名誉に生きるより、名誉ある死を」と「勝利を決意する。」は他のPRUのパッチにも見かける物だ。また、コウモリをモチーフにしたデザインパッチもPRUに多く見られる物である。これも一説には夜間に活動する恐ろしげなイメージでデザインに加えられていると言われている。中央に描かれる骸骨は死のイメージ、もしくは死をいとわない決意を表しているということだ。このパッチの特徴的なデザインとしてはコウモリの顔が人の物になっている点だね、一時のアメリカのパッチコレクターの間で「コウモリ男 バットマン」と呼ばれたパッチですね。見た目的には「馬面男」なんだけど・・・。

 私的にはこのPRUはお気に入りの部隊なので機会があれば少しづつ詳しく書いてゆこうと思っていたりします。今回は最初なんで、ほんのさわりだけにして、紹介程度にしておきます。

TEXT BY TAC 
    


Posted by USARV-TAG at 11:00Comments(0)パッチ&インシグニア

2010年01月14日

DBT 3D Assault Pack Vol.3

DIAMONDBACK TACTICAL
3 DAYS ASSAULT PACK With Hydration Sleeves VOL.3

 人並みに正月休みなんて物がありますから、年始から年末にかけて今までのブログを確認したりしていたんですよ。5月以降更新していないナなんて考えながらね。サボっていたと言うわけでもないのだけれど、気に入っていたアイテムに関しては大体書いたのでね。それに忙しくしていたのもあったしね。
 まぁ・・・そこで気付いたのだけれど、この3DAY PACKに書き残していた事があるとね・・・そんな訳でパックの構成について追記してみようと思ったりしています。
 初めて見る人もいるかもしれないので興味が沸いたらVol.1とVol.2も見てください。

 昨年はあまり目新しい物も入手しなかったんだけれど、幾つか紹介してみようかなと思う物もあるのでゆっくり書いてゆこうと思っています。


メインコンテナとその外側のサブコンテナの大きさは写真の通り。メインコンテナに比べサブコンテナが若干、外に張り出しているデザインとなっている様に見えるが、これは中に何も入れていないためマチの部分が張り出してしまっている為で実際はメインコンテナと同サイズ。


 ハイドレーションスリーブ付きということが謳われている通り、ハイドレーション(キャメルバックなんかでおなじみの給水システムね。)がパック内に収められ、チューブを取り出すスリーブが付いている。
 丁度、パック上部のドラッグハンドルの脇に左右両側、取り出し口が装備されているので状況によって使い分ける事が出来る。


ハイドレーションスリーブは上の写真のように通常はフラップで覆われていて必要に応じて開くようになっている。フラップ自体は開閉時共にベロクロで固定する形式だ。これによって埃や雨水あるいは毒虫の侵入を最小限に抑える事が出来る。


 メインコンテナを開放した写真です。ハイドレーションは丁度Molleが付いている仕切りの裏側がポケットになっており、そこに格納するようになっている。ポケットは写真で見づらいがトップにファステックが装備されている、またポケットの固定はベロクロで行うようになっていてMolleに追加ポーチ類を取り付けても重量でたわんでしまうことを防いでくれる。
 非常に凝ったつくりで、小物を多く持ち運ぶ場合には適当にメインパックの中に放り込んでおくよりも取り出しやすく使い勝手が向上する反面、無駄なスペースが出来てしまい容量を損なってしまう場合もあるので、ポーチ選びや配置は慎重に行う必要があると思う。
写真でパックの内側が光って見えるのは防水処理で簡素なコーティングがなされている。これによって多少の雨であれば内容物が濡れてしまうようなことも無い。


 ファステック部分とハイドレーションを格納するポケット部分の拡大写真。

 
 サブコンテナの開放写真。容量はそれ程、大きく無いが直ぐに取り出して使う必要な物を分けて入れておくことが出来る。開放の幅も大きいので非常に使いやすい。
 黒いナイロンが見えるが、これは外側に付いたジッパー開閉式の小物用ポケットの仕切りで薄手のナイロンが使用されている。外部のデザインはVol1で述べているので其方を確認してください。

Text By Tac

  


2009年05月16日

DBT 3D Assault Pack Vol.2

DIAMONDBACK TACTICAL
3 DAYS ASSAULT PACK With Hydration Sleeves Vol.2


 荷物を持って移動する。そんな用途で使われてきたのがバックパックだ。荷物を保持しながら両手が自由になり、負担も少なくて済む、そんな優れものだ。長い間人々に支持されてきたので用途の細分化や利便性の向上など常に進化を続けているアイテムでもある。価格も様々でとても豊富な選択肢が存在しているしね。
 軍事的な側面でも個人装備として古くから使用されてきた。行軍に際し、バックパックが無いなんてよほど補給に自身がある軍体系を持っていなければ考えられない所だね。
 そんな訳でDBTのアサルトバック第二弾です。


 3D Pack背面。ショルダーストラップにはプラスチック製Dリングと四角のリングが付いている。また1インチテープが縫い付けられており、テープは各所でMolleの様に何かを差し込める様になっている、カラビナなどを通しておくくらいしか思いつかないが、あって困るものでもないね。
 ショルダストラップはファステックで連結されていて素早い着脱が出来る。また調整幅も標準的なので体格にあわせ調節するのに困ることは無いだろう。
 バックパックの背面って、あんまり注目しない所だろうかね?絶対的多くの人はパックのデザインを優先するだろうし、容量で判断することも多いだろう、私もそうなので背面に注目しないこと自体はそんなに不思議なことでもない。背面は直接背中に当たる部分なので使用して初めて気に成りだす部分でもあるわけですよ。
 そんな訳で意外に各メーカーで特色が出てくるのは、この背面であったりする。ブラックホーク社のパックではIVSと呼ばれるプラスチックフレームに低反発素材を組み合わせた、密着性と通気性という相反する性能を上手くバランスさせた製品を開発したり、クッション部分をメッシュにしてみたりと各社色々な取り組みをしているね。民生品では更に進んで金属フレームにメッシュの素材を組み合わせパックと背中の間を空間をもたせて通気性を高めたものがあったりする。
 DBTではこの通気性能を無視して、本来の背負うと言う性能を追求しているように思う。パックと背中の密着性を高めパックが移動時に左右に振ることを極力抑えるためにラバーの滑り止めを左右に採用している。勿論ラバー素材と言うことで勿論通気性は全く期待できない。唯一背骨が当たる中央部分にはクッション素材とナイロンで構成されているので、かろうじて通気性能を確保している程度だ。
 これはどの様な背面処理が優れているかと言うことではなくて求められる機能や好みの問題かな。通気性の高い素材はやはり強度の面で劣るし、いかんせん滑り止めの効果にも劣る。滑り止め加工がなされ強度の高い素材は通気性能に劣ると言うことかな。


 パック背面の滑り止め加工部分。黒い素材が二分割されている、滑り止め加工の素材を使用しているのは下の部分。上記では一応、ラバー素材と書いたけど雨具などの補強部分なんかで見られるシャークスキンと言われる加工だね。不勉強で本当にゴム材を基本に加工してあるものなのかは分からないのだけど、通気性が期待できないことは確かだね。
 二分割された上部は薄手のナイロンを使用している。ある程度の通気を考え、体から発汗される湿気を逃がす為にこの素材を採用していると思う。また背負う時にあまり硬質で滑り止めが利き過ぎていると重量が増せば増すほど、上着などを引っ張ってしまうことにもなるので背負い込むことを考えると一番最初に体に当り、ずらしながら定位置までもってゆかなくてはならない部分は逆に滑りやすい方が都合が良いと言うことになる。
 かなり詰め込んでショルダーストラップを調整して、背負った感じでは下部の滑り止めの効果で移動時の振り出しが抑えられ、それ程ウエストベルトの追加を必須と言うほどは感じなかった。内容は7kg以下で歩行のみだったので走り回ったり、更に重量を増す場合にはウエストベルトの装着が望まれる場合もあると思う。
 
 

 ショルダーストラップの裏側、低反発素材にやや目の細かいナイロンメッシュ素材を組み合わせている。製作手法は一般的なものだが、低反発素材の質はとても良く、表面の補強ストラップから貫通する縫製部分を視点に曲がるのでフィット感に優れている。ナイロンメッシュの強度は一昔前と比べ格段に向上している。ナイロンメッシュは使用に伴って毛羽立ちが出たりして、素材の弱さに不安を持ったりしていたが、昨今ではその様な現象は皆無か殆ど無いといってもいい。
 格安のバックパックにいまだに使用される強度に劣るナイロンメッシュから破損を心配する向きもあろうが、このDBTに使われるものに関してはその様な心配は無用だと思う。


 ショルダーストラップに付いたファステック。ショルダーストラップ左右に同じデザインとなっている。バックを着脱する目的で付いており、結構民生品にも見られるデザインだったりする。ファステックは強度があり、硬質プラスチックを採用している。硬質ゆえに作動に力が要るが重要な部分なので強度があるに越したことは無いと思う。荷重のかかる部分でもあるのでファステックを固定する周辺を見ても縫製がしっかりとられているのが分かる。この部分の破損はバックパックにとって致命的な結果になるので安心感があるのは嬉しい。


 ショルダーストラップはご覧の通り、かなり補強を意識して製作されている。何処までの加重を想定しているのかは知らないが、普通に使う程度ではびくともしないだろうね。意外にバックパックってショルダーストラップ自体や接合部分に縫製の甘いものがあるものです。勿論、ちゃんとしたメーカーではそれ程の心配も無いのだけれど、シティーユースを前提としたつくりのものなどはショルダーの縁がほころびたり、縫い取りから生地にダメージが出たりする事がありますね。


 ショルダーストラップと本体の接合部分。かなり、強度を意識して縫製されているようだ。DBTが強度の高いバックパックを作ろうとしている姿勢が現れている部分だね。



 今や大き目のバックパックには必ずというほど付いている、左右のショルダーストラップを連結するストラップ。連結するとバックパックが安定して負担を軽減してくれる。たいした事のないパーツに見えるが重量が大きいほど効果が実感できるので私は意外と活用していますね。

 
 形あるものはいつか壊れると言うものの、使用している最中に壊れて欲しくない。だが、保管しておくだけで壊れてしまうのもかなりショックだ。
 まぁね、時間が自由になっていた頃には野山に出かけてゆく事も頻繁だったので、色々経験しました。中古のX-フレームパックのクイックリリース部が金具ごと取れちゃったりね。プラスチックパーツが折れちゃったり、アリスパックのアルミの金具が飛んじゃったりしてね。そんな負の遺産からかな、強度には特別の思いがありますね。
 私は未だ布と布を接合するのに縫製を重要視してしまいますが、もしかすると接着剤などで物凄い強度の出るものなんかもあるかもしれないですよね。英国のロータスで製作される車にはアルミフレームを接着剤で組上げ固定しているものもあるとか、でも私は古い人間ですからボルト止めや溶接で製作して欲しいと思うわけですよ。
 判断材料は縫製だけに限らない場合もあるのではないかということです。バックパックは一つ一つが高価なのでたくさん集めて全てから判断することは個人では無理ですから、知識も追いついてゆかないですしね。
 私が気に入っているのはこんな所です、と言う意味での製品紹介ですから、あくまでも私見として参考にしてください。

TEXT BY TAC

 

  


2009年05月09日

DBT 3D Assault pack

DIAMONDBACK TACTICAL
3 Day Assault Pack with Hydration Sleeves



 3 Day Assault Pack 三日間程度の作戦向けに開発されたバック・パックと言う所だろうか。どの基準で三日程度の作戦に耐える個人携行品の量を想定しているのかは不明なんだけど。まぁ・・色々なメーカーで同様の名前をつけたバック・パックが商品化されている。形も大きさもほぼ同じで三日間の想定にはそれなりの根拠がありそうだね。
 民間の山歩き用では、ほぼ日帰りハイキング用のデイ・パックの大きさより一回りほど大きい感じだけど、軍隊ではその三倍の日数で必要とされる携行品を詰め込むわけだ。
 タクティカル用品とは言え、基本的には市販のバックパックと大差ないので、最も日常生活へ流用がきく軍用品の一つだね。
今回のパックはダイヤモンドバック・タクティカル社(以下、DBT)のアサルト・パック ハイドレーション スリーブ付きですね。このパックはDBTのアサルトパックシリーズで最もベーシックなモデルとなります。
 DBTがリリースする他のバックパックに比べ開口部が大きく取られているなど、ベーシックとは言うものの一番使いやすいのではなかろうかね。特に私のように何でもただ突っ込んでしまう人にはお勧めだね。


 最近のタクティカル用品と言うこともあり、ナイロンはコーデュラを使用しているようだね。非常に硬質で厚みがある。この点では軽量を重視した民生品と大きく異なる所と言えそうだ。タフな作りと引き換えに重量が増すことになるが、壊れにくいと言う安心感もバッグに求められる性能だと思う。荷物を詰めすぎてナイロンが縫製部分から裂けたなんて経験を多数持つ、私には特にそう思うところだな。つい最近イーグル社のローリングバックのコピー品をたった一回の使用で葬り去ったばかりだ。


 全体的なデザインは、一般的なディパックと違いが見られない。日本でも70年代後半に大流行してそのまま定着しているデイパックだが、それだけ完成度の高いデザインと言えると思う。木々の生い茂る山岳地を歩いても、張り出しの少ないデザインで枝などの干渉が少なく、スムーズに移動できる点は負担を軽減してくれていたし、従来の袋状のリュックサックに比べ立体裁断のパックは携行品を詰めやすく、取り出しやすかった。
 
 さてDBTの3D Packだけど、このパックは大きく分けて2つの収納部分からなっている。メインパックとその上にある大型ポケットだ。写真は大型ポケット部分。Molleとベロクロのパッチパネルの間に平行にジッパーが付いているが、ここは大型ポケットに付属する地図などの書類や小物などを収納するスペースとなっているもので、大型ポケットの収納は上面についているジッパーを開放して行う。
 大型ポケットの厚みは5cm程あり、結構な収納容量がある。背負った時に体から一番はなれる場所でもあり、ストラップなどで補助もされていないので、重量物を収納するのには向かないが雨具など急に必要になるものを入れておくのに充分なスペースであることは嬉しい所だね。


 サイドからの写真。メインの収納部と大型ポケットの関係が分かる。メインパックは厚みが均一で収納性よりも行動時の負担を軽減する様に体から収納物が遠くならない様にデザインされているように思う。重量バランスを考慮する為か大型ポケットの配置を見ても上面に向かって収納のための容量が大きくなっている。
 上部に重量のあるものを配分する事がパッキング法として知られる所だけれど、上面に重量を配分すれば移動時に軽量の下部とのバランスで背負った荷物が左右に振られ疲労を増大させる場合もある。そのためショルダーストラップを絞り、必要によってウエストストラップを装着するのだが、最近の小型から中型のタクティカルバックパックはウエストストラップを非装備もしくは着脱式となっているものが多い。バッグ本体やショルダーストラップのデザインが洗練されてきた事が要因のひとつ、重量が大きくならない(特に小型バックパック)場合にはウエストベルトが無用の長物になりかえって邪魔になる場面があること、そして何よりも戦闘時に素早い着脱を妨げるなどの問題を内包しているからだと思う。
 DBTでもアクセサリーベルトの名称で別に用意されるベルトがこの3D Packのウエストベルトとして機能するので必要な場合にはどうぞ!!と言う姿勢だ。
 写真で見える2本のファステックの付いたストラップは調整式でメインパックを絞って、内包物を体に近づけ安定させるために使い、一番上のストラップは簡易的に荷物を固定するのに使う。


 下部にあるジッパーはポケットではなくメインの収納に直接つながっている。ここから奥にしまったものを取り出す事が出来る。
  
 パック表面と側面下部にMolleテープが付いており、容量を拡大したい時や使用頻度の高いものを取り付けるようになっている。またジッパーは信頼性の高いコイルジッパーを全体的に使用してあり、砂などのかみこみを防ぐ意味でジッパー部に多いがかかるように配慮されている。結果的にむき出しになったジッパーより動きが渋くなりがちなのだが、反面タフな作りこみは安心感があることも確かだと思うな。

つづく・・・多分。

TEXT BY TAC

  


2009年02月01日

Blackwater Windbreaker fleece

BLACKWATER Windbreaker Fleece



 アメリカのブッシュ政権が先月の20日に任期を終え、民主党オバマ政権へと引き継がれた。対テロ戦争、アメリカの安全保障を重要課題に、アフガニスタン、イラクへと戦争を拡大したブッシュ政権は本土防衛を基軸に始めた自らの戦争の泥沼にはまり、原油高騰やサブプライム問題等の国内経済情勢によって泥沼へ更に引きずり込まれる格好となった。
 強力な軍事力を前面に押し出した外交政策は国際関係において孤高の超大国から、孤立の超大国への印象を強めたし、収容所で起こった人権問題や安全保障の名目で行われていた国内での盗聴問題は国民の不信をかった、また世界的に見てもドイツに新アメリカ派のメルケルが首相に就任したが、イラク戦争開始時にアメリカの軍事行動に強い支持を表明した各国の政治トップ達の多くは、その任期を終えてしまっている。
 国際問題、国内問題で閉塞感を感じるアメリカ国民が経済問題や国際協調を前面に打ち出すオバマ氏を大統領に選任したことは、これまでの経済システムや外交政策にに限界を感じた結果かもしれない。
 “変化”をスローガンに初の黒人大統領が選任されたことは、何もかも変えて欲しいというアメリカ国民の声を代表しているのかもしれない。アメリカの保守層には大きな衝撃で受け止められたことだろう。
 少なくともオバマ政権にはイラク問題の早期解決を求められているので、今後のアメリカのイラク介入は急速に縮小してゆくと思う。超近代兵器と民間軍事会社で語られる側面があるイラク戦争の終結作業の中で、民間軍事会社はイラク戦争で見られた特異な現象として捉えられてゆくのか、イラク戦争以前の様な限定的な活動で軍事行動を支援し続けるのか、もしくはこのまま不透明な民間企業と軍隊の垣根の間を行き来しながら勢力を拡大してゆくのだろうか。


 
 最も注目されていた頃の民間軍事会社ブラックウォーターが採用していたロゴマーク、イラク戦争の申し子としてCNNニュースなどでも頻繁に取り上げられていた為、アメリカの一般にも馴染みのあるマークとなった。
現在は新たなデザインに変更されているが、この古いデザインを好む人が多いのか、それとも既に最盛期に有名になりすぎたのか、アメリカで現在、非常に多くのコピー品が出回っている。アパレルブランドメーカーではないのでブラックウォーター社では既成の製品にマークを刺繍、プリントしているだけなのでオフィシャル品とコピー品の垣根は低く、判別もつきにくいのが難点かね。



 フリース自体はウインドブレーカーの名称が指し示すようにアウターとしての機能を持たせるように製作されているようだ。肩当などアメリカ軍に官給されるフリースを意識してデザインされたものを採用していますね。あて布に採用されているのはナイロンでアメリカ軍用フリースと比べ強化されているのだが、通気性などの点で劣ると思う。
また、ウインドブレーカーとしての機能を高める為、ウインドストッパーとして内側は前面にナイロンの内張りが施されている。
 非常に保温性が高く、脇の立体裁断など動きやすさでも好印象だが、アメリカ軍のフリースと比べるとインナーとして使用した際には、先に述べた通気性の問題やナイロンのあて布によって動きが制限されがちになったりするので、あくまでアウターとして使用することを第一に考えられているフリースジャケットであると考えておく方がよさそうだ。
 フリース素材は厚手で柔らかく、着心地も悪くない。市販の安いフリースに慣れた我々からすると値段の高さなどで受け入れ難い感もあるが実際は質感と値段が釣り合っていると感じることが出来るのではないかと思う。


 
 袖は筒袖になっており、絞りなどの調整機能を有してはいない。袖口に硬質のナイロンで補強をしている。



 袖の内側に若干伸縮性を持つ袖が隠されている。風の浸入を抑え保温性を高める配慮がなされている。袖口の強化は伸縮性のある素材で作られ、ナイロンよりも軟質なので快適に使うことが出来る。



 胸から背中にかけて補強のナイロン布で覆われ、バックパックを背負っても擦れなどによるダメージを気にしなくても済む。フリースは擦れによるダメージを受けやすいので私のようなバックパックユーザーには嬉しい配慮と言える。
 フリースはダメージが出てくるとみすぼらしい印象になりやすいので、アウターとして使うのには是非とも補強布があるものが良いと思っています。



 内張りにナイロンが前面に張られている。ある程度の風を止める機能があるのだが、ナイロンに保温性は無いので、風に奪われる体温を減少させる機能が期待できる程度と考えて欲しい。あくまで風の浸入を防ぐもので、風はフリースが蓄えている熱気を容赦なく奪うので風を受けても寒くないと言う類のものではないのです。それでもフリースを風が吹き抜けて全ての熱を取り去ってしまう事態は避けれれるので無用の機能ではないのだけれどもね。



 ポケットは内ポケットが1つとジャケット外側下部に左右1つづつのスラント・ポケットを装備している。写真のポケットはそとがわのポケットになります。このポケットは内張りにナイロンが張られていますが、浅いのであまり物を入れておくことをお勧めしませんね。ジッパーが装備されていると使いやすくなると思うが、物を入れておく為のポケットではなく、ハンドウォーマーとしてデザインされているような気がしますね。


 
 脇の立体裁断部分。これによって厚みのあるフリースでありながら、動きづらいと感じることはあまり無いですね。以外にフリースは伸縮性が低くて、時に動きづらい印象を受けるものがありますのでこの様な裁断の有無はフリース選びの基準ですね、私の場合。



 内ポケット、実際に物を入れておくのなら、このポケットを使用するほうが紛失しなくて済むと思う。内張りに付属しているポケットなのであまり大量に物は入らないし、重量物を入れておくことを想定してはいない。



 風の浸入を防ぎ、保温性を高める目的でジャケットの裾にゴムひもが通され調整機能が両脇に付属している。両脇についていることで調整幅が大きい場合でもゴムひもが裾から出て何かに引っかかるようなことは無い。



 丈が長いと言うほどの物ではないのでジッパーはワンウェイタイプが採用されている。それ程、不都合を感じることも無いのであまり使わないのに耐久性が劣りがちなツーウェイを採用するより良いのではないかと思う。タブに付けれれたコードも適当な長さで手袋をしたまま開閉するのに丁度良い長さになっている。

 PMCで有名なブラックウォーター社、進行中のイラク戦争で活動するアメリカ軍の支援組織だけに社名の持つメッセージには強いものがある。警備任務を請け負うとされるが、テロリストからアメリカ軍の準軍事部門とみなされ、正規軍ほどの強い武器やハイテク機器を装備しないことからテロの標的とされている。またテロを防ぐ名目で警戒範囲内に間違って入ってくる車両などに頻繁に発砲を繰り返すため、イラク市民からも歓迎されていない。
 私自身も中東出身者の一団とすれ違うとき、このマークをつけている事に緊張を覚えた事があったりする。うっかりこのマークの入ったポロシャツを着て行って国外の空港カウンターで指を指された事もあるしね。
 日本国内ではそうそう問題となることは無いのだろうと思うが、軍事的な装備はその国々の政治的な姿勢を代表することがあるので注意が必要となる場合もあるんだよね。

TEXT BY TAC